LAGOMな暮らし方

  • しあわせな国から見えてきた、わたしの幸福度の上げ方

    世界幸福度ランキング上位を占める北欧諸国ですが、日本と比べてそれほどハッピーで完璧なのでしょうか?本日は北欧視察を重ねて筆者が気づき実践する「わたしのしあわせの感度の上げ方」を紹介します。 北欧はしあわせな国なのか?世界幸福度ランキングが今年も世界幸福デーの3月20日に発表されました。北欧5カ国はこのランキングのトップ10にすべて入っています。ちなみにフィンランドは2018年から6年連続で「世界一」をキープしています。わざわざ幸せをランク付けする必要があるのか議論の余地はありそうですが、それでも世界幸福度ランキングの発表の度に、なぜ日本は毎年50位前後を浮遊しているのだろうと考えてしまいます。北欧の友人にこのランキングのことを聞いても「それ何?へーそっか」と流され、日本人ほど注目されていないようです。かつての私は、さぞ北欧はしあわせな国なんだろうなと思っていました。しかし北欧視察を重ねるうちに、これは社会保証制度が整っていることや、国内総生産(GDP)が高いだけでなく、彼らの自分を大切にする生き方も関係するのではないかと考えるようになりました。 ※World Happiness Report 2023(世界幸福度報告書)https://worldhappiness.report/本年度の日本の世界幸福度ランキングは47位でした。  北欧の考え方をヒントに!わたしのしあわせ感度の上げ方3つ1:環境のせいにしない!ポジティブな北欧レジリエンス力北欧の人たちのポジティブに変換するレジリエンス力の高さは目を見張るものがあります。厳しい冬期間が長い北欧、冬場は日照時間も極端に短く日本育ちの私には過酷に感じるほどです。しかしこの厳しい環境でも彼らはポジティブに捉えます。「薄曇りだからキャンドルがキレイ」「凍った湖で無料でアイススケートできる」「春が来た時のワクワクがたまらない」と、すらすら出てくるポジティブワードに最初はたじろいでいたけれど、今じゃこれ真似しちゃえとばかりに自分も取り入れています。私は仕事柄、自宅は美しく整い、家事も得意だろうと思われがちですが、実は元来怠け者。友人を家に招待する時は準備が必要です。その時は、「あぁ友達がくるから隅々まで掃除ができて良かった」とポジティブ変換し気持ちを前向きに捉えます。今でこそ、ポジティブな北欧のレジリエンス力でピンチもスルーできるようになりましたが、出産直後は自分の考え方からとても苦しく過ごしました。思い通りにならないことを、「子が小さいから」「夫が手伝ってくれないから」「親のサポートがないから」と、周りのせいにして不満を募らせてばかり。しかしコントロールできるのは自分だけです。もしこの時ポジティブな北欧レジリエンス力で望んでいたら、もう少し余裕をもって子育てできていたかもしれません。 2:自分自身の幸せにフォーカスし、しあわせかと自分に問う突然ですが、「あなたは今しあわせですか?しあわせを感じる時はどんな時ですか?」この質問にすらすら答えられる日本人はどれくらいいるでしょう。北欧視察の際に、必ずこの質問を現地の人に伺います。北欧の人たちは躊躇なくこの質問に答えてくれます。「はい、しあわせです」と。日本人のシャイな気質と忙しすぎる日常で立ち止まる余裕がないことにも原因があるかもしれません。しかし北欧と言えど、共働き子育て世代の1日はあっという間です。そんな生活の中でも自分と対話する時間を確保すると言います。例えばスウェーデン訪問時にお世話になったKさんは頭の中が混乱していると思うと、あえていつもと違った手段で出勤します。彼女はわざわざ時間がかかる船(水路)を選びゆったりとした気分で思考の整理に役立てているとのことでした。私も忙しい時ほど1人時間を確保し自分と向き合うように心がけています。そして毎日ではないけれど、気づいた時に「今私はしあわせかな」と問うようにしています。しあわせじゃないと感じたら、どうなったらしあわせなのか考えすぐ問題解決に努めます。問題を先送りしないことが機嫌よくいられるコツです。 3:小さなところから自分を満たす自分のしあわせにフォーカスするとおのずと自分の満たし方がわかってきます。私はすばらしいキャリアやリッチな環境より、「等身大の暮らし」で自分を満たしたいことに気づきました。他人から見たら本当に小さな小さなことです。部屋の観葉植物の緑が生き生きして元気だ、嬉しい。子どもが持ち帰った弁当箱が空っぽだった、嬉しい。今日もゆっくりお茶ができた、やっぱり嬉しい。どれも意識しないと日常に埋もれてしまうであろうできごとです。しかし自分と真剣に向き合い自分の幸せにフォーカスすると、しあわせの感度も上がっていきます。北欧の人たちが教えてくれるしあわせも「家族が元気でしあわせ」「きょうも森に行けてしあわせ」「熱々のコーヒーが飲めてしあわせ」と何一つ特別な事ではありません。自分の基準で「あっいいな」がいっぱいになればよいのではないでしょうか。 北欧でのできごと~ユートピアは存在しない~12月のデンマークは石畳から身体の芯を貫くような寒さで、日が暮れたコペンハーゲンのメインストリートで耐えかね駆け込んだカフェでのできごとです。私はメインストリート「ストロイエ」にあるデンマークを代表する陶磁器メーカー併設のカフェに入りました。その時の店員との会話です。「30分足らずで閉店だけれど、本当に入りますか?」「ハイ、寒いので身体を温めたいです。」コーヒーを飲んでいると閉店まで残り15分以上もあるのに、私の席以外の椅子をテーブルに上げ帰り支度をはじめました。ちらちらこちらを見る視線に私が気が付くと、店員は駆け寄り「お金だけ先に払って、レジを締めたいから」と言うじゃありませんか。国を代表するブランドのカフェが観光客にも容赦なく北欧スタイルをつきつけるのです。私はこの時「あぁ北欧ではみんなが少しづつ譲り合ってここちよい暮らしをおくっているのだな」と思いました。この北欧でのできごとから、寛容な社会に強く心を打たれました。日本でも多様性をみとめもっと寛容な社会に変わっていけばここちよい暮らしに近づけるのではと思っています。 まとめ 日本がもっと生きやすく誰もが暮らしやすい社会へ変わることが望ましいですが、暮らしはのんびり待ってはいられません。自分とその周りからならば行動は起こせます。まずは自分のしあわせの感度を上げるところから一緒にはじめてみませんか。

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  • エネルギーあふれる北欧の春と季節を楽しむ北欧の暮らし

    エネルギーあふれる北欧の春と季節を楽しむ北欧の暮らし北欧では長く厳しかった冬の終わりがようやく見え始めるころ、人々の暮らしは一気に活動的になります。皆、この時を待ってましたと言わんばかりに外へ繰り出します。春の北欧は冬で溜まったエネルギーを解放するかのように、フレッシュさにあふれています。日本でも春を楽しむヒントとなるよう、本日は北欧の春とライフスタイルについてお話します。 北欧の春北欧の春は3月から5月下旬まで続きます。同時に春を楽しむためのさまざまなイベントが開催され、賑やかな雰囲気になります。とは言え3月はまだまだ雪が降る日もあり、スキーや凍った湖でのアイススケートも盛んです。それでも日の光は柔らかく、日照時間が伸びたなと実感します。まだ雪が残る森へクロスカントリースキーで出かけ、休憩がてらFIKA(フィーカ)するのが楽しいと友人は言います。雪解けの隙間をぬって顔をのぞかせる新芽をみつけると元気になれると続けます。日本ほど険しい山が少ないとはいえ、雪が残る森でのピクニックは、北欧の人たちの逞しさを感じます。春のスウェーデンのお祭りと言えば、4月30日に行われるValborg(ヴァルボリ)が有名です。この日のために木々を集め積み上げてかがり火の準備をします。ヴァルボリはかがり火の高く燃え上がる炎を人々が囲み、燃え尽きるまで見守る伝統行事です。この炎を見るころ、季節は本格的に春から夏へと加速します。 ※FIKAの記事「スウェーデンのちょっとステキな習慣「FIKAフィーカ」をあなたの日常に」 春の予感はイースターとガーデニング日本では桜の開花の知らせを聞くと春の訪れを感じますが、北欧ではキリストの復活を祝うイースター用の羽の付いたカラフルな枝飾りや、デコレーションエッグがお店に並びだす頃、春を感じるのだとか。チューリップやゼラニュウム、黄色い水仙などカラフルな色で花屋も鮮やかになります。そうなると、そろそろバルコニーを片づけてガーデニングの準備をしようかと動き出すそうです。今年はどんな草花を植えようと構想を練り土を耕し準備したプランターや植木鉢に種や球根を植えます。まるで部屋のインテリアを整えるのと同じように庭やベランダガーデニングも楽しみます。ちなみに桜の花は北欧でも人気がありますが、開花時期は4月末から5月上旬です。スウェーデンの首都ストックホルム中心街の公園Kungsträdgården(クングストラッドゴーデン)では、毎年満開の八重桜をみながらピクニックを楽しむ大勢の人で賑わいます。 春のワクワク感をインテリアにも!北欧流春のインテリアコーディネート3つ・大胆なデザインファブリック北欧と言えば大胆なフラワーモチーフのファブリックが沢山あります。テーブルクロスとしてかけるだけで、いつもの食卓が華やかで楽しい印象に早変わりします。大胆なファブリック使いに抵抗がある人でも、クッションカバー等のポイント使いなら気軽にイメージチェンジできおすすめです。 ・植物と光を集める花器新緑を思わせるインテリアグリーンを積極的に取り入れるのはいかがでしょう。この時期フレッシュな枝ものが市場にたくさん出ます。枝ものは切り花に比べ水持ちがよく、取り入れやすいです。 春を連想させる、手毬のような白い小花がかわいらしいゴデマリはいかがでしょう。大振りな枝ものを、光を拡散させるガラス製の花瓶にさりげなく飾るのもよいでしょう。北欧では、窓辺にガラス製品やインテリアグリーンを飾り街行く人を楽しませてくれます。 ・黄色モチーフを使いインテリアにポップな印象を 春を告げるミモザの花の様な黄色の雑貨や小物を飾るのもおすすめです。黄色は明るさや元気などを連想するパワーのある色味です。飾る面積が小さくてもその効果を十分に期待できます。例えば、ファブリックパネルや置物などの一部に黄色が印象に残るようなデザインを選んでください。インテリアに黄色のデザインモチーフでアクセントを付け、住空間からワクワクな気持ちを楽しんではいかがでしょうか。 春の食べ物といえばワッフル!?スウェーデンでは3月25日をワッフルデイと名づけてお祝いするほど、ワッフルが愛されています。北欧ではワッフルは手軽に食べられるおやつです。おやつと書いたけれど、トッピングを変えて食事としても食べられます。大抵のお宅にはクローバーの葉っぱの形をしたワッフルメーカーがあり、お家で作られる代表的な食べ物です。日本のホットケーキと同じようなイメージだと言えば伝わるでしょうか。バターを多めに配合した生地はプレスして焼くことでぱりぱりと香ばしく、熱々のうちにたっぷりのポイップクリームとベリー系のジャムをのせて頬張ります。あぁ想像しただけでなんと幸せな気分に。お手入れしたばかりのバルコニーで日の光を浴びながら、家族や親しい友人らと共にワッフルでFIKAしながら春の訪れを身体全体で楽しみます。 まとめ欧州では、ワッフルデイで皆がFIKAを楽しむのと同じころ、時計の針を1時間早めるサマータイムが始まります。いよいよ始動!北欧は本格的に動き出します。今年は北欧流春のインテリアコーディネートを参考に、整えたお家でワッフル頂きながらゆっくりと春に思いを馳せるのはいかがでしょうか。

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  • HYGGE(ヒュッゲ)な暮らしとは?デンマーク流ライフスタイルからここちよさのヒントを探る

    HYGGE(ヒュッゲ)という言葉を知っていますか?なんとなく聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。本日はHYGGE(ヒュッゲ)をテーマにここちよい暮らしのヒントを探ります。 ”HYGGEヒュッゲとは?HYGGE(ヒュッゲ)とはデンマークの言葉です。一言で訳すのは難しく「心地の良い空間やその時間」という意味です。気のおけない仲間や家族、時には一人でも、お気に入りの空間でほっこり心地よく過ごす時間、といったニュアンスで使われます。 デンマークで体験!ヒュッゲな暮らしコペンハーゲン郊外に住む家具職人のお宅を視察した時のことです。ご主人の作品が並ぶ居心地の良いインテリア空間でホームメイドのパンやマフィンに自宅で養蜂したはちみつをたっぷりつけていただきました。窓から入るキラキラとした日差しの中、屈託ない話をしながら美味しいものを頬張る、これぞヒュッゲ。お天気が良いから幸せ、おやつがおいしいから幸せ、あなたがいるから幸せ… 何気ない日常を楽しむライフスタイルこそデンマーク流の幸せのカタチ、その様子がヒュッゲではないでしょうか。 デンマーク流のヒュッゲな暮らしを実現する3つのインテリアポイント 1.北欧の光と灯りの関係を知るここちのよい住空間を考える時、真っ先に家具やファブリック(カーテンやラグ等)を思い浮かべがちですが、実は照明ほどここちのよい空間演出に大事なものはありません。 北欧の夏はゆっくり時間をかけて日が沈みます。その黄昏時の夕日の美しさと調和を楽しむように一灯づつ部屋の灯りをつけていきます。”灯りがある場所に人は集まる”という考え方から、ダイニングテーブルの上、ソファーの周り、などスポット的に照明を使います。暗くなったら照明1つでパッと明るく部屋全体を照らす、日本のような灯りは好まれません。北欧の住宅でLDKにある光源の数を数えたらキャンドルを含め10個以上ありました。多くの光源から放つ光の陰影が昼間と違った豊かな表情を見せてくれました。例えば今ある照明器具にスタンドライトやテーブルライト、持ち運び式のLEDライトなどを2,3つ追加して灯りに厚みを出します。先ずは1点照明から多照明にチェンジして、灯りの重なりを日本の住空間でも楽しんではいかがでしょうか。 2.自然を積極的に取り入れる都市部でも比較的自然が身近にある北欧では、自宅のインテリアにも自然をうまく取り入れます。窓際に観葉植物を置いて外の風景に馴染ませ、景色をインテリアの一部として楽しんだり、庭や散歩の途中で摘んできた野花や石を無造作に飾ったりと、ラフに楽しんでいる様子が伺えます。観葉植物は大きな物を選ばなくてもディスプレイで工夫をします。天井から吊るしたり、台の上に置いて高さを出したりメリハリを付けると視覚的にリズムが生まれ部屋を印象付けるポイントになります。部屋にフォーカルポイントを設ければ、空間が立体的になり広く感じるメリットもあります。また自然は植物だけではありません。天然木、ラタン、リネン、コットン、石、貝…等々はナチュラルなインテリアにも調和しやすいです。人と環境に優しいサステイナブルを意識した自然素材にも着目してはいかがでしょうか。 3.モノに愛着が湧く工夫北欧ではセカンドハンドショップがいたるところにあり、夏場はフリーマーケットが多く開催されリサイクルが盛んです。古いものには新しいものに出せない味わいがあると北欧の方は言います。デンマークでは家具は一生ものと考えリペアしながら長く愛用します。日本でアンティーク家具を扱う店主と話した時、北欧産の家具はリペアがしやすい仕様が多いとおっしゃっていました。前の章で書いた、家具職人のお宅にも思い出を受けついだソファーがありました。ご主人が子どものころ引っ越ししたタイミングで家にやってきたとのことで、かれこれ50年以上前のソファだそうです。このソファはご主人が両親と過ごした思い出に合わせ、代が変わっても家族のストーリーを繋いでいくのでしょう。こんなストーリー(背景)があるとより愛着が湧いてくるのではないでしょうか。新しい商品を購入する時も、目に見えるデザインだけを見るのではなく、その商品がつくられた思いや背景を知ると、お気に入り度が増すかもしれませんね。 まとめ最後の仕上げは、あなたの尺度で選んだここちのよい空間で思い思いに過ごすことです。 ヒュッゲはここちのよい暮らしを叶えるテクニックではありません。安心感と満足感で満たされた、あなたにとっての”幸せのカタチ”をヒュッゲから探ってみてはいかがでしょうか。 

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  • スウェーデンのちょっとステキな習慣「FIKAフィーカ」をあなたの日常に

    FIKAフィーカとはFIKAフィーカとはお茶時間やコーヒー休憩を意味します。スウェーデンを訪問すると頻繁に耳にする言葉です。コーヒーと一緒に甘いお菓子やパンをつまんで談笑したり、1人時間を楽しむようなイメージで使います。コーヒーはスウェーデン語でKAFFIカッフィ。上下ひっくり返えしFFI+KAフィッカ、フィカ、フィーカ・・・これがFIKAフィーカの語源と言われています、面白いですね。ちなみに北欧の1人当たりのコーヒー消費量が世界でもトップクラスだということはご存じでしたか?2022年統計では上位5位以内に北欧勢が3カ国も占めています。このことから北欧とコーヒーが暮らしに根付いていることがわかると思います。スウェーデンで友人と会うときは必ずフィーカします。街に繰り出せばカフェでフィーカを楽しんでいる老若男女、公園のベンチでコーヒー片手に子どもを見守るパパママを見ることができるかも知れません。 世界の一人当たりコーヒー消費量/全日本コーヒー協会ホームページ「統計資料」よりhttps://coffee.ajca.or.jp/data スウェーデンで体験した3つのFIKAフィーカ・森でFIKAフィーカ北欧を旅する時ここぞとばかりに予定を詰め込んでしまいます。この時もスウェーデンをもっと知りたいと相当欲張りなスケジュールで挑みました。友人と会う約束をしていましたが、小間切れの時間の夕方にお茶をする程度しかありませんでした。その時友人に「OK、お茶しましょう」と連れられたのが、森だったのです。街中のカフェに行くものだと思い込んでいましたので、車のトランクからピクニックセットが出てきたときは、同行した友人と顔を見合わせて驚きました。「スウェーデンを知りたいのなら森に行かなくてどうするの?これが私たちの暮らしですよ」と、話を聞きながら池のほとりの切り株に腰かけてフィーカしました。北欧の夏は、夜の9時を過ぎても明るく、太陽は時間をかけゆっくり沈みます。湿り気を帯びた森の匂いを感じながらいつまでも続くオレンジ色の空を眺め、無言でコーヒーを飲んだことは大切な思い出です。スウェーデン流の暮らしの楽しみ方に一歩近づいた瞬間だったかもしれません。 ・オフィスのFIKAフィーカスウェーデンでは会社でもフィーカすることは事前に調べて知っていました。日本の企業でもよくあるスタイルの「アレ」だろうと想像をしていました。 大抵のスウェーデン企業は午前と午後に一回ずつフィーカ時間が設けられ、これにランチタイムも加わります。それでいて残業はほぼ皆無で、仕事が終わればさっさと家に帰宅すると言うではありませんか。日本人からすると「そんなに休むの?」と思ってしまうかも知れません。しかし企業でフィーカすることはエビデンスを基に行われています。人間の脳は継続的に作業をするより、適度に休息を挟むことで効率が上がり、疲れにくくなることは様々な研究でも証明されています。フィーカが効率的な働き方に役に立つことは理解できました。終業時間が短く真っすぐに帰宅するような文化で、同僚とのコミュニケーションは円滑なのか?と疑問に思い、日本の”飲みにケーション”について話しました。 「仕事のためなのにどうして終業時間内にしないのですか?コミュニケーションならFIKAすればいいじゃない?」と目を丸くして不思議がられたことは今でも笑い話です。フィーカは効率化とコミュニケーションの二つの利点によって企業でも積極的に取り入れられています。余談ですが、地方議員の政党が集まる機関でもインタビューしたことがあります。そこのフィーカルームが政党を超えてみんながあつまり話をする場になっている事に、スウェーデン社会の成熟さを感じました。 ・はじめましてのあいさつ代わりに北欧取材でお宅訪問する際、はじめましてでもフィーカに誘われます。「Ska vi fika?(スカ ヴィ フィーカ)」お茶にしない?と気軽な感じでフィーカします。特別に準備されたおもてなしではありません。コーヒーと甘いおやつ、時には手作りのスイーツが並ぶこともありますが、スウェーデン人の日常にふらっと飛び込むような気軽さです。1日に何件も訪問する場合は、つい人懐こさが嬉しくて初めから飛ばしてしまうと後々お腹がタプタプになり厳しいフィーカになってしまうのでセーブするよう気を付けています。初めての訪問先はお互い緊張しがちですが、フィーカを挟むとまるで昔からの知り合いのようにゆったりとした時間を過ごせるから不思議です。こんな時フィーカには、リラックスし互いをよく知るコミュニケーションツールの役目が強いと感じます。 日本でもやってみよう!スウェーデン流FIKAフィーカタイムの過ごし方 ストックホルム郊外に住む知人の家のベランダで、ゆっくり沈む夏の夕日を見ながらフィーカを楽しんだ時のことです。家でフィーカする時間は、せわしなく過ぎる日常の中で自分を振り返る時間になると彼女は言いました。黄昏時のベランダフィーカはあまりにもここちよく、彼女と話を終えた後も1人、色々な思いを馳せながら夕日をぼんやり眺めてすごしました。 いきなり毎日フィーカする!と意気込んでも日本の暮らしに合わないかも知れません。まずは、行動することから始めるのはいかがでしょう。どんなに忙しい人でも、1週間の中で30分の時間を捻出することは可能だと思います。無理に”北欧らしく”する必要はありません。お気に入りのカップ&ソーサーを用意し、自分のためにコーヒーを淹れます。手触りのよいふかふかのクッションとサイドテーブルにはキャンドルを灯し、甘いおやつを頬張れば”ちょっとよい時間”になるのではないでしょうか。初めはただコーヒーを飲むだけになるかもしれませんが、なんとなく習慣になる頃には、あなたにとって自分を満たす大切な時間になると思います。こなれてきたら外に繰りだし、こだわりのカフェを見つけたり、公園でフィーカしたり、そんな時間を誰かと共有したり…  単なるコーヒーブレイクではなく、思考の整理の時間やリフレッシュ、友人や同僚と過ごす時にはコミュニケーションアップにもなるフィーカ。まずは自分から、そしてその周りからスウェーデン流FIKAフィーカを浸透させてはいかがでしょうか。

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  • 【LAGOMな暮らし方】ブログがはじまります!

    はじめまして。収納専門のインテリアコーディネーター・北欧ライフスタイル研究家の新倉暁子(ニイクラアキコ)です。この度Living Naviで執筆させていただくことになりました!どうぞよろしくお願いします。自己紹介・なぜ北欧ライフスタイルなのか収納専門のインテリアコーディネーターがなぜ北欧ライフスタイル研究家を名乗っているのか?そのきっかけは、はじめて北欧を訪れた2016年まで遡ります。住空間の視察目的で北欧を訪れる機会に恵まれました。訪問先はどれも期待を裏切らず、北欧プロダクトに囲まれたうっとりするお宅ばかりでした。ステキなインテリアに囲まれて暮らす中学生の女の子に「あなたの家、本当にステキなインテリアね!」と声をかけました。私はその時の彼女の返答が忘れられません。「ステキなインテリアは大事ではない、それよりそこに集まる人が好きだからインテリアを整えているのよ」彼女が放ったシンプルながら本質を表す言葉にハッと気づかされました。住空間のプランニングをする際も「なぜそうしたいのか」「暮らしがどうなったら幸せを感じるのか」としっかり思いや背景を伺ってからモノを整えていくようにしています。北欧でインタビューした少女は中学生ながらもそのことを自然に身に着けていました。北欧の人たちは暮らしの中で自然に「自分がどうしたいのか」考え、そして自分を満たすことが日本人より上手なのかも知れないと思い、現在北欧のライフスタイルを研究しています。そこで、このブログでは北欧で感じた「あっこれいい」を日本の暮らしに合わせてご紹介させていただきます。北欧で出会ったモノやコトからちょうどよい暮らしのヒントをお伝えする【LAGOMな暮らし方】ブログスタートです!LAGOMとはどういう意味?LAGOMはスウェーデン語です。ラゴム・ラーコムとカタカナ表記できます。日本語に直訳すると「ちょうどよい・ほどよいあんばい・ほどほど」を意味します。北欧で出会ったLAGOMな考え方お宅訪問をする際、程よく力が抜けたおもてなしに、まるで友達の家に招かれたようなここちよさを感じます。例えば日本で見ず知らずのお客様を招待する時、数日前から必死に片づけて掃除をし、ちょっと気取ったお茶菓子を用意し完璧な状態で招き入れようと考える方は少なくはないと思います。住空間の仕事をしている私も、例にもれずここぞとばかりに必死になるでしょう。しかし北欧のお宅訪問ではありのままを見せてくれるお宅が多いです。ステキなキッチンを見せてくれたSさん。とても気さくにキッチンの隅々まで見せていただいた時です、少しぐちゃっとなった引き出しを開け「これが私のLAGOMなの」と笑って見せてくれました。Dさんだってそう、うっとりするようなリビングにあるキャビネットを開けた際、子どものクレヨン、画用紙、工作用の空き箱が今にも雪崩を起こしそうな様子に「こういう場所も必要だよね、これがLAGOMだよ」と。また訪問時にはコーヒータイムをご一緒することが多いのですが、添えられたお菓子も、手作りのケーキからスーパーで買ったクッキーや板チョコをその場で開けるなど、人それぞれ違ったLAGOMなスタイルで招き入れてくれます。手放すとLAGOM(ちょうどよい)が見えてくる北欧へ行くたびに完璧でなくてよいことを学びます。忙しく過ぎていく日常で、完璧を望んでいたら苦しくなりませんか?その完璧は誰のためなのでしょうか。それより「自分」と向き合って「自分」を満たすことから始めてみましょう。”ちょうどよい”は人によってそれぞれ違います。あなたの”ちょうどよい”はどんなものでしょう。暮らしは誰かが決めた基準で生活するのではなく、自分で暮らし方を決めると毎日がとても楽ちんになると思っています。北欧の暮らし方からLAGOMを紐解くと、自分を満たすためのシンプルな考え方だと思います。忙しい日常で思考がこんがらがったら、ぜひ立ち止まり”私にちょうどよい暮らし”についてじっくり向き合って欲しいです。遠回りなようでそれがここちよい暮らしの近道なのですから。

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  • 北欧マインドに出会うスウェーデンのクリスマス

    予備知識もない中、はじめて訪れた北欧はクリスマスが始まる11月末でした。冬の北欧に戦々恐々としていましたが、その時体験したエピソードをお伝えします。極寒を生き抜く北欧のポジティブシンキングスウェーデンのストックホルムには、中世の雰囲気がのこる旧市街地のガムラスタンがあります。ガムラスタンにある広場では、毎年クリスマスマーケットでにぎわいます。そこを訪れた時のことです。朝から降り続いた雨がとうとう雪に変わり、たまらず寒さをしのぐため、目についたお店に飛び込みました。あいさつ代わりに「寒いです、雪が降ってきましたよ!」とネガティブな意味で店主に話しかけました。すると店主から「それは、よかったです」と思わず聞き返してしまうような返事が返ってきました。私が驚いていると、続けて店主は、「月の光や窓からの照明が積もった雪に反射してキラキラするでしょ、夜道が明るくて美しいですよね。」と笑顔で話してくれました。雪、寒い、べちゃべちゃ、交通マヒ…嫌なものと思い込んでいた私には衝撃でした。それから東京でも雪が降る度に必ずそのことを思い出すようになりました。その言葉の通り、真っ白な雪が降り積もった石畳は、お店の窓からこぼれる電飾の灯りが反射してガムラスタンのクリスマスマーケットをより一層魅力的に見せていました。北欧では長く続く暗くて寒い時期を少しでもここちよく過ごすための工夫が暮らしの中に垣間見れます。このようなポジティブな変換が幸福度に繋がっているのではないかと思っています。北欧(スウェーデン)のクリスマスはどんなことするの?・クリスマスを待ちわびるアドベント12月25日の4週間前からクリスマスシーズンが始まります。2022年は11月27日からすでにクリスマスシーズンが始まり準備を楽しんでいます。4本のキャンドルを1週間ごとに灯をともします。このキャンドルのことをアドベントキャンドルと呼びます。1週目の第1アドベントを皮切りに、街中がクリスマスデコレーションに彩られます。ホテルやデパートのショーウインドウやスーパーにもクリスマス用品が並びにぎやかになります。子どもも大人も、クリスマスを迎える準備をしながらいまかいまかと待ちわびながら4週間を過ごします。・クリスマスだから食べる特別なお菓子とルシア祭クリスマスシーズンに用意する特別なお菓子と言えば、サフランで色付けされ両端は渦巻き形状したルッセカットという名のパンです。12月13日(旧暦では冬至)には光の聖人を祝うお祭りとしてルシア祭が催され、このパンを食べる習慣があります。12月13日の朝には、子どもたちがルシア祭の白いガウンとキャンドルを立てた王冠を付け、「サンタ・ルシア」を歌いながらルッカセットとコーヒーを両親の寝室へ運ぶ習わしがあります。ちなみに現在は頭につけるキャンドルは電子キャンドルが主流だとか。この日は街や教会でも、子ども達が白いガウンをまとい歌を歌いながら可愛らしく行進する様子を見ることができるかもしれません。・やさしさであふれるお家のクリスマスデコレーションクリスマスシーズンになるとスウェーデンでは星型の照明を街の通りや店のショーウインドウへ飾ります。個人宅でも例外ではなく皆、窓際に星形の照明とアドベントキャンドル、もみの木のフラワーアレンジメントを見ることができます。また、スウェーデンのクリスマスでは外せない「ユールトムテ」を部屋のあちらこちらに愛嬌よく飾ります。赤いとんがり帽子をかぶった妖精は、寝静まったころ働いてくれたり、困った時に助けてくれると信じられています。どの家庭もクリスマスは特別な行事として窓辺をデコレーションします。このデコレーションですが、窓の外から見て美しく見えるように飾られていると伺いました。暗い冬の夜道、光に気づきふと窓を見ると、そこには幸せな暮らしを連想する風景がある。冬の家路を急ぐ人々が少しでもほっと安らぐように。窓辺を美しく飾ることは、道行く人へのやさしさのおすそわけだとスウェーデン人の友人は話してくれました。・北欧ではクリスマスもサステイナブル?!サステイナブル先進国といわれる、スウェーデンのクリスマスはどうでしょうか。クリスマスマーケットで売られるもみの木ツリーもオーガニック認定を受けたものを選んでいるそうです。数年前に訪問したクリスマスマーケットでオーガニック認定を受けたもみの木やリースの山に、これもオーガニックなんだ!と驚きました。なんでも日本で主流のプラスティックツリーには使用反対運動もあるとか・・・生もみの木が主流でない日本では、同じように取り入れることは難しいですが、例えばフードロスの観点で、家族が食べられる量だけ厳選してお祝いの料理を用意することならできそうですね。私も今年は気にかけて家族でクリスマスをお祝いしたいです。まとめ一年で一番昼が短い時期ですが、スウェーデンのクリスマスからあたたかな灯りと知恵からうまれた温もりに満たされました。今年も素敵なクリスマスになりますように…ー-------------------新倉 暁子 (ニイクラ アキコ)

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